Effect of Continued Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Placebo on Weight Loss Maintenance in Adults With Overweight or Obesity: The STEP 4 Randomized Clinical Trial
Association of Minimal Residual Disease With Superior Survival Outcomes in Patients With Multiple Myeloma: A Meta-analysis JAMA Oncol. 2017 Jan 1;3(1):28-35
Part 3: Adult Basic and Advanced Life Support: 2020 American Heart Association Guidelines for Cardiopulmonary Resuscitation and Emergency Cardiovascular Care Circulation. 2020 Oct 20;142(16_suppl_2):S366-S468.
Comparison of Lemborexant With Placebo and Zolpidem Tartrate Extended Release for the Treatment of Older Adults With Insomnia Disorder: A Phase 3 Randomized Clinical Trial JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1918254.
Bleeding with Apixaban and Dalteparin in Patients with Cancer-Associated Venous Thromboembolism: Results from the Caravaggio Study Thromb Haemost. 2020 Nov 17. doi: 10.1055
2021年1月19日
症例検討会 3例
1 90歳女性 両側胸水でご紹介 ECG LVH UCG LVH EF 71% BUN 52.6 Cre 5.3 UA 10.1 両側水腎症 膀胱がんによる腎後性腎不全
2 93歳男性 心電図陰性T on V3-6 LAD狭窄
3 69歳女性 RAで10年以上MTX内服 発熱で受診。胸壁に腫瘤あり。政権でMTX関連ML。MTXを休薬して改善を待つ。
2021年1月15日抄読会
Efficacy and Safety of Dapagliflozin in Heart Failure With Reduced Ejection Fraction According to Age: Insights From DAPA-HF Circulation. 2020 Jan 14;141(2):100-111.
Carfilzomib, dexamethasone, and daratumumab versus carfilzomib and dexamethasone for patients with relapsed or refractory multiple myeloma (CANDOR): results from a randomised, multicentre, open-label, phase 3 study Lancet. 2020 Jul 18;396(10245):186-197.
Effectiveness of clindamycin and intravenous immunoglobulin, and risk of disease in contacts, in invasive group a streptococcal infections Clin Infect Dis. 2014 Aug 1;59(3):358-65.
方法
2002年3月1日から2004年8月31日まで、オーストラリアのビクトリア州でiGAS(侵襲性A群連鎖球菌)感染症の積極的かつ前向きな州全体のサーベイランスを実施した(人口調査によると、サーベイランス対象の人口は490万人)。63の研究所、45の病院、および一般開業医のネットワークを確立した。集中治療室または200床以上の収容能力(2001年はn = 45)を備えた病院からの退院データセットを、ICD-10コードについて3か月ごとに確認した。すべての患者の詳細な臨床データを医師から、および/または医療記録のレビューによって収集した。
結果
重度のiGAS感染症(連鎖球菌毒素性ショック症候群、壊死性筋膜炎、敗血症性ショック、またはショックを伴うGAS蜂巣炎)の84例を特定した。クリンダマイシン治療を受けた患者は、受けていない患者よりも重症でだったが死亡率は低かった(15%対39%;オッズ比[OR]、0.28; 95%信頼区間[CI] 、. 10-.80)。同時にIVIG治療を受けたグループにおいても、クリンダマイシン治療を受けた患者は、致死率が低かった(7%)。死亡率の調整オッズ比の点推定値は、クリンダマイシン治療を受けた患者(0.31; 95%CI、.09-1.12)およびクリンダマイシンとIVIG治療を受けた患者(0.12; 95%CI、.01-1.29)ではクリンダマイシン治療を受けていない患者と比較して低かった。3つのiGAS感染の確認症例は家庭の接触で発生した。接触者がiGAS感染を発症する率は、ビクトリア州の全体の発生率の2011(95%CI、413-5929)倍だった。
結語
クリンダマイシン治療が重度のiGAS感染症の患者の死亡率を大幅に低下させ、IVIGとの同時治療によって更に効果が高まる可能性がある。発端者から1か月以内は家庭の接触者間でiGAS疾患が伝播するリスクが劇的に高いと思われ、抗生物質投与による予防が役立つかもしれない。
2020年11月13日抄読会
Dabigatran for Prevention of Stroke after Embolic Stroke of Undetermined Source(ESUS) N Engl J Med. 2019 May 16;380(20):1906-1917.
脳梗塞の20-30%が原因不明である(*)。ガイドラインでは潜在性脳梗塞の二次予防には抗血小板薬が推奨されている。抗凝固御薬はAFなど心源性因子のある患者の脳梗塞発症率を低下させる。
RE-SPECT ESUSは国際的な二重盲検並行群間無作為化試験である。
対象
60歳以上、・過去3ヶ月にESUSがある。・血管危険因子があれば過去6ヶ月以内にESUSがある。
18歳から59歳で血管危険因子がある。・過去3ヶ月以内にESUSがある。
ESUSの定義・ラクナ梗塞ではない。・50%以上の狭窄を示す動脈硬化はない。・6分以上続くAFがない。・特定の塞せん源がない。
介入
■ダビガトラン群 150mgx2/日 or 75歳以上&腎障害 110mgx2/日
■アスピリン群 100mg/日
主要評価項目 脳卒中再発 イベント発生までの時間
安全性に関して ・大出血・臨床的に関連する非大出血(→入院、外科的介入、試験薬の変更、中断中止に至る出血)
結果
登録 5390人が割り当てられた。36.9%が女性だった。中央値44日、NIHSS 1
効果 ハザード比はダビガトランの薬効を示しているが有意差が出ない。
安全性 臨床的に関係のある小出血あるいは大出血にて薬害が示され、有意差があった。
卵円孔開存の患者では再発性脳卒中が一定数起きたが、2群間に差はなかった。
考察
本試験ではESUSのリスクに対するダビガトランとアスピリンの効果に有意差は見られなかった。
再発性脳卒中の発生率はダビガトラン群→4.1%、に対してアスピリン群→4.8%だった。大出血は2群間で類似していた。一方臨床的に関連のある小出血はダビガトラン群で多かった。仮設はESUSは塞栓症なら抗凝固薬のほうが効果的か?長期モニタリングなどするとAF検出率は1年10-15%である。左房内血栓をきたしやすいESUS患者に限定した抗凝固療法の優位性に対する試験が進行中。
Phase I/II study of COVID-19 RNA vaccine BNT162b1 in adults Nature. 2020 Oct;586(7830):589-593.
BNT162b1 :SARS-CoV-2のスパイク糖タンパク質の三量体化受容体結合ドメイン(RBD)をコードするヌクレオシドと脂質とがナノ粒子を形成した修飾mRNA型ワクチンである。
参加者45人(76人から選出した19−54歳の健康な被験者)を12人×3(10ug、30ug、100ug)の投与群と9人のプラセボ群に割り当てた。
局所および全身の副反応は用量依存的に発生したが、重症度は軽度から中等度であり、一過性だった。用量100μgの接種は1回目のワクチン接種後の反応性も免疫原性も、30ugの1回目の接種に増加傾向なかったため2回目の接種を行わなかった。
血清中のRBD結合IgG濃度およびSARS-CoV-2中和力価は、1回目の接種用量を増すことで、および2回目の接種を行うことで増加した。コロナPCR陽性後の少なくとも14日間は血清の幾何平均中和力価は1.9〜4.6(U/mL)に達した。この結果より、このワクチン候補の評価を裏付けていると思われた。
Immunogenicity of BNT162b1.
Safety and Immunogenicity of Two RNA-Based Covid-19 Vaccine Candidates N Engl J Med. 2020 Oct 14;NEJMoa2027906.
対新型コロナmRNAワクチンの候補BNT162b1 とBNT162b2の比較
BNT162b1 SARS-CoV-2受容体結合ドメインにT4フィブリチンフォールドンドメインのコードを追加したmRNA 三量体化された糖タンパク質を発現し免疫原性を高めることが予想される。
BNT162b2 SARS-CoV-2スパイク全体の配列に2箇所プロリン変異を加えることにより結合する前の形態を維持して中和抗体が反応すべきウイルスにとても類似した物質を発現すると予想される。
Immunogenicity of BNT162b1 and BNT162b2.
2020年10月13日
症例検討会 2例 多枝病変 と 多枝スパスム による下壁病変
1 脳梗塞、腰椎圧迫骨折 心房細動にてアミオダロン、ワーファリン内服中だった。夜間トイレで失神で倒れた。血圧低下した状態で搬送されてきた。 CPK 903, ABUM 25,Cre 1.06, Hb 6.5
心電図 II III aVf ST上昇 I ST低下 冠動脈造影 LAD 90%狭窄、ニトログリセリン注入 改善見られず。 IABP挿入し血圧が上昇すると狭窄消失。 ニトログリセリンの効果の遅延。
胸壁の血腫増悪。VitK投与と輸血。 その後カリウム上昇。 ロケルマ投与。
2 既往歴 心源性脳塞栓の患者 入浴後心窩部痛で救急搬送。救急室にてVT から心呼吸停止。胸骨圧迫と人工呼吸をして心臓カテーテル実施。
心電図 II III aVf ST上昇 I ST低下 冠動脈造影 LAD造影で右冠動脈に側副血行あり。右冠動脈にステントを置いて治療終了。
2020年10月9日抄読会
Oral ixazomib maintenance following autologous stem cell transplantation (TOURMALINE-MM3): a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 3 trial Lancet. 2019 Jan 19;393(10168):253-264.
Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality (UK Age trial): final results of a randomised, controlled trial Lancet Oncol. 2020 Sep;21(9):1165-1172
2020年9月15日
症例検討会 3例
1 PCK(polycystic kidney)の大量サムスカ療法
2 PCK
3 心窩部痛、黒色便で紹介された成人症例 ALL
Estimating lifetime benefits of comprehensive disease-modifying pharmacological therapies in patients with heart failure with reduced ejection fraction: a comparative analysis of three randomised controlled trials Lancet. 2020 Jul 11;396(10244):121-128.
方法 3つのRCT試験(EMPHASIS-HF (n=2737), PARADIGM-HF (n=8399), and DAPA-HF (n=4744))を間接的に比較
A Randomized, Controlled Trial of Liraglutide for Adolescents With Obesity N Engl J Med.2020 May 28;382(22):2117-2128. doi: 10.1056/NEJMoa1916038.
P:肥満対策の生活指導を行っても改めない12歳から18歳未満の肥満青年
EC:56週間の治療と26週間の追跡期間からなるRCT リラグルチド(3.0 mg)またはプラセボを1日1回皮下投与。
O:5%以上BMIが減少したのは、リラグルチド群の113人中51人、プラセボ群の105人中20人だった。中止後、リラグルチドの方がプラセボよりもBMI標準偏差スコアの大幅な増加が見られた。
A Randomized, Controlled Trial of 3.0 Mg of Liraglutide in Weight Management N Engl J Med.2015 Jul 2;373(1):11-22.
Liraglutideの肥満に対する効果を検証したRCS
P:糖尿病(T2DM)が除外された、BMI30以上の患者3731人
EC:56週間 二重盲検 リラグルチドを 3.0 mg 1日1回皮下注射あるいはプラセボの投与。
O:56週後、リラグルチド群は平均8.4±7.3 kgの体重が減量、プラセボ群は平均2.8±6.5 kg 両群の差は95%信頼区間で5.6 kgと算定された。
Treatment of Hemophagocytic Lymphohistiocytosis With Cyclophosphamide, Vincristine, and Prednisone Swiss Med Wkly.2012 Feb 3;142:w13512. doi: 10.4414/smw.2012.13512.
血球貪食性リンパ組織球症(HLH)と診断された15例が登録され、COPレジメンで治療された。15人のうち2人は自己免疫疾患関連HLH(13.3%)、2/15はリンパ腫関連HLH(13.3%)、7/15は感染関連HLH(IAHLH)(46.7%)、残りの4 / 15人は明らかな基礎疾患がなかった(26.7%)。
完全奏効(CR) 7/15例(46.7%)、部分奏効(PR) 5/15例(33.3%)。
72.5週間の平均追跡調査で、1年全生存率は66.7%と算出された。
病因間で、COPに対する反応・感度は異なった。費用効果の高い化学療法としてのCOは、IAHLH、自己免疫疾患関連HLH、および集中治療を要さないHLHに有効であろう。
Continuous Versus Intermittent Infusion of Vancomycin and the Risk of Acute Kidney Injury in Critically Ill Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis Crit Care Med. 2020 Jun;48(6):912-918
Confirmed efficacy of etoposide and dexamethasone in HLH treatment: long-term results of the cooperative HLH-2004 study. Blood. 2017 Dec 21;130(25):2728-2738.
Slowing Progression of Cardiovascular Calcification With SNF472 in Patients on Hemodialysis: Results of a Randomized Phase 2b Study. Circulation. 2020 Mar 3;141(9):728-739.
Changing treatment paradigms for patients with plasma cell myeloma: impact upon immune determinants of infection. Blood Rev. 2014 Mar;28(2):75-86.
このレビューでは、形質細胞骨髄腫(PCM)患者の経時的な免疫機能に対する患者、疾患、および治療因子の影響を議論し、これらの患者で臨床的に見られる感染症の発生率および病因と免疫不全を相関について説明し、予防措置とPCM患者の感染プロファイリングに臨床面で役立つツールの可能性について述べている。
Impact of last lenalidomide dose, duration, and IMiD-free interval in patients with myeloma treated with pomalidomide/dexamethasone. Blood Adv. 2019 Dec 10;3(23):4095-4103.
背景:急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対して効果が保証された特定の薬物治療法はない。コルチコステロイドもARDSにおける有効性について議論の余地がある。デキサメタゾンは肺および全身の炎症を改善し機械的換気期間および死亡率の減少をもたらす可能性があり、この論文はARDSにおけるデキサメタゾンの効果を評価することを目的とした。
方法:スペインの他施設におけるRCTで対象は中等度から重度のARDS患者(脳死、末期疾患、またはコルチコステロイドまたは免疫抑制薬の投与を受けている患者は除外)。基準に適合した患者はコンピューターでランダムにデキサメタゾンによる即時治療または継続的な集中治療(コントロールグループ)に割り当てられ治療を受けた。デキサメタゾン群の患者は、1日目から5日目まで1日1回20mgの静脈内投与を受け、6日目から10日目まで1日1回10mgに減量された。両群の患者は肺保護人工換気で換気された。試行のすべての段階で割り当てがわからないようにされた。主要なエンドポイントは、割り当てられた日から28日目までの生存および機械的換気のない日数として定義した。2次的エンドポイントは、無作為化60日後の全死因だった。すべての分析は、治療企図解析に従って行った。
結果:2013年3月28日から2018年12月31日までに277人の患者を登録し、デキサメタゾングループに139人、対照グループに138人の患者を無作為に割り当てた。計画されたサンプルサイズの88%(277/314)以上を登録した後、登録率が低かったため、この試験はデータ安全監視委員会によって中止された。人工呼吸器を使用しない日数の平均は、デキサメタゾン群のほうが対照群よりも高かった(群間差4.8日[95%CI 2.57~7.03]; p<0.0001)。60日目に、デキサメタゾン群の29人(21%)の患者と対照群の50人(36%)の患者が死亡した(群間差-15・3%[-25.9~-4.9]; p0.0047)。有害事象の割合はキサメタゾン群と対照群で有意差はなかった。最も一般的な有害事象は、ICUでの高血糖(デキサメタゾン群の105 [76%]患者 vs 対照群の97[70%]患者)、ICUの新しい感染症(肺炎または敗血症など)、33[24%] vs 35[25%])、気圧外傷(14[10%] vs 10[7%])。
結論:デキサメタゾンの早期投与により、中等度から重度のARDSが確定した患者の機械的換気の期間と全体的な死亡率を減らすことができる。
Inhibition of B Cell Receptor Signaling by Ibrutinib in Primary Central Nervous System Lymphoma Cancer Cell. 2017 Jun 12; 31(6): 833–843
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)のサブタイプである原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)は、メトトレキサートベースのレジメンで治癒率が40%未満と悪い。これは治療後一定期間をおいてから再発することがしばしばだからだ。BCRサブユニットCD79BおよびToll-like受容体アダプタータンパク質MYD88の2つの遺伝子変異がPCNSL細胞にはある。これらの遺伝子変異によりBCRシグナルが持続的に活性化し、DLBCL腫瘍の活動しているB細胞(ABC)が生存可能になると想像される。これと同様にPCNSLの場合も(BCRシグナル)の刺激を腫瘍細胞が受け続けると考えられる。イブルチニブはBCRシグナル伝達系の下流にあるNF-κBタンパク質の活性化を阻害するブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤である。イブルチニブはCD79B変異体とMYD88変異体(特にL265P)とをもつ腫瘍にいて再発/難治性DLBCLに顕著な臨床活性を示す。これらよりCD79Bおよび/またはMYD88 L265P変異があるPCNSLでもイブルチニブは著明な抗腫瘍活性を示すと仮説を立てた。
イブルチニブ単剤療法では再発/難治性ABC DLBCL患者の生存期間の中央値は10.3ヶ月と短い。中枢神経系に入る化学療法剤を併用すればイブルチニブのPCNSLに対する有効性が増強される可能性に着目した。イブルチニブと併用する薬剤にドキソルビシンを含めなかった。なぜならばドキソルビシンは血液脳関門を通過しないと考えられているからだ。一方ドキソルビシンのリポソーム製剤は、この障害を克服し、PCNSLの治療にイブルチニブと組み合わせるのに有望な薬剤と考える。標準化学療法によるアポトーシス作用に拮抗するNF-κB経路をイブルチニブが阻害するためイブルチニブと化学療法薬の併用は合理的である。さらにin vitroにおいてもイブルチニブが化学療法剤と相乗作用を示すことがDLBCLのABCで確かめられている。著者らはイブルチニブがPCNSLで、単剤および化学療法の双方で臨床効果を引き起こす仮説を確かめるためin vitro、in vivoにおける対象薬剤の薬効動態を解析することから始まり18名の患者をエントリーした臨床試験まで実施した。
Randomized Trial of Three Anticonvulsant Medications for Status Epilepticus. N Engl J Med. 2019 Nov 28;381(22):2103-2113
背景:てんかん発作の初期治療はベンゾジアゼピン(BZD)だが、1/3はBEに抵抗性である。このタイプのてんかん重積状態については十分な解析がされていない。BEの次に使われる薬剤はレベチラセタム(LEV)、フォスフェニトイン(fPHT)、バルプロ酸(VPA)の3剤である。早く発作を収束させれば心臓呼吸器合併症、ICU入院、死亡のリスクを減少させられる。臨床ガイドラインは早期に発作をコントロールする必要があることが必要だと指摘しているが、薬剤の優劣、選択を評価できる完全な無作為試験は実施されておらず言及もない。
方法:アメリカの救急に関係する多施設の共同研究であり無作為化、二重盲検化された試験であり、NIHとFDAの基盤研究である。57の施設が参加した(18施設は小児のみ、26施設は成人のみ、13施設は双方を対象)。対象は2歳以上であり、5分以上の痙攣に対してBZDを使用して5分以上経過しても痙攣が続いている患者。これらの対象から外傷、血糖異常、心停止、無酸素後、妊婦、収監者は除外し、さらにBZD以外を使用した患者、挿管後の患者、アレルギー、代謝障害、肝臓腎臓の機能障害を除外した。3剤はそれぞれ所定の速度で10分間で注射された。アームはLEV、fPTH、VPA濃度と用量はLEV 50mg/mL 60mg/kg、fPTH 16.6mg/mL 20mg/kg、VPA 33.33mg/mL 40mg/kg。薬剤(救急チームはどれかわからない)は10分で注射を中止し20分経過しても発作が続くときはレスキューは各施設で60分間で主要アウトカム(明らかな発作の欠如、抗けいれん薬を追加しなくても薬物注入開始後60分までに意識レベルが改善すること)を達成後は試験薬剤のマスクを解除してもよいがそれ以前に盲検を断念した場合はスタディから離脱とした。主要アウトカムは上記の通り。二次アウトカムは痙攣消失時間、ICU入院、入院期間。各薬物が最も効果的または最も効果的でなかった事後確率を計算した。安全性アウトカムには、生命を脅かす低血圧または不整脈、気管内挿管、発作の再発、および死亡だった。
結果:合計384人の患者が登録され、LEV(145人の患者)、fPTH(118)、またはVPA(121)を無作為に割り当てた。2回目のてんかん重積状態のエピソードを持つ患者の再登録ではランダム化の16の追加インスタンスを占めた。1つの薬物が優れているか劣っているのを見つけることは相当のケースが必要と予測されたため400例で中止した。登録患者のうち、10%が心因性発作を起こしていると判断された。てんかん重積状態の停止と60分での意識レベルの改善の主な結果は、LEVに割り当てられた68人の患者(47%; 95%の信頼できる間隔、39〜55)、fPTHに割り当てられた53人の患者(45%; 95%信頼できる間隔、36〜54)、およびVPAに割り当てられた56人の患者(46%; 95%の信頼できる間隔、38〜55)。各薬剤が最も効果的であった事後確率は、それぞれ0.41、0.24、0.35だった。数値的に、fPTH群では低血圧と挿管のエピソードが多く発生し、LEV群では他の群よりも多くの死亡が発生したが、これらの差は有意ではなかった。
結論:BZD不応性けいれん性てんかん重積の状況では、抗けいれん薬であるLEV、fPTH、およびVPAはそれぞれ約半数の患者で発作の停止と60分以内の覚醒をもたらし、3薬は同様の有害事象の発生率と関連していた。
Long-term and recent trends in hypertension awareness, treatment, and control in 12 high-income countries: an analysis of 123 nationally representative surveys Lancet. 2019 Aug 24;394(10199):639-651
高血圧は、脳卒中・心臓病・腎臓病の重要な危険因子であり、降圧薬はそれらのリスクを減らすために有効である。低めの血圧閾値を使用して患者の高血圧を早めに治療することに利点があることが臨床治験で示されており、低い血圧閾値を推奨する臨床ガイドラインが作られている。全国および地域の高血圧プログラムは、医療提供者と患者のエビデンスに基づくガイドラインへのコンプライアンスを改善すること、高血圧を登録すること、医師の能力を維持すること、定期的に血圧を測定すること、薬物療法を実施すること、などにより高いレベルの高血圧コントロールを達成できることが実証された。一方高血圧の認識、治療、および管理の観点から、健康管理システムと臨床ガイドラインが異なる国々をどのように比較するか、国々の比較方法が時間とともにどのように変化したか、高血圧管理を改善する必要があるのはどの国か、などに関するデータはほとんどない。40年近くの全国的なデータを12か国のデータを使用して高血圧のベンチマーク(認識、治療、管理の)を示そうとした。方法 オーストラリア、カナダ、フィンランド、ドイツ、アイルランド、イタリア、日本、ニュージーランド、韓国、スペイン、英国、米国の12の高所得国で、1976年から2017年にかけて123の国民健康調査に参加した40-79歳の人々のデータを使用した。高血圧の参加者の割合・分布を計算した。高血圧は収縮期血圧140 mm Hg以上、または拡張期血圧90 mm Hg以上、または高血圧の薬物療法を受けているものであり、自分は高血圧を治療され抑えられてる知っている人と定義した。結果 526,336人の参加者のデータが利用できた。カナダ、韓国、オーストラリア、および英国が高血圧の有病率が最も低く、フィンランドが最も高かった。 1980年代から1990年代初期にかけて、ほとんどの国と年齢および性別で治療率は最大40%で、対照率は25%未満だった。評価期間中、12か国すべてで高血圧の意識と治療が増加し、コントロール率が改善した。韓国とドイツでは他国に比べあらゆる指標が改善した。血圧コントロールが改善したのは1990年代と2000年代半ばでありその後ほとんどの国で横ばいになった。最近の調査では、カナダ、ドイツ、韓国、米国が最も高い認識率、治療率、制御率を示し、フィンランド、アイルランド、日本、スペインが最も低くなっていた。最高の成績を収めている国でさえ、治療率はせいぜい80%であり、コントロール率は70%未満だった。
Daratumumab plus Bortezomib, Melphalan, and Prednisone for Untreated Myeloma. N Engl J Med. 2018 Feb 8;378(6):518-528
ダラツムマブは、CD38を標的とするヒトIgGκモノクローナル抗体であるが、その多様な作用として直接的な抗腫瘍効果、免疫抑制細胞の枯渇、細胞傷害性T細胞の増殖などがあり多発性骨髄腫の療法薬剤として期待されている。高齢患者の多発性骨髄腫ではレナリドマイドとデキサメタゾン、メルファランとプレドニゾンとサリドマイド、メルファランとプレドニゾンとボルテゾミブが最も広く支持されている治療薬の組み合わせである。 これらによるレジメンは、18ヵ月から2年の無増悪生存期間および4から5年の全生存期間と報告されている。
以前に少なくとも1つ治療ラインが試された患者に、ダラツムマブと標準治療レジメン(ボルテゾミブ-デキサメタゾン[CASTOR試験]およびレナリドマイド-デキサメタゾン[POLLUX試験])を行い無増悪生存期間を有意に延長し、反応率を高めたと報告されている。これらとダラツムマブの組み合わせは、疾患の進行または死亡のリスクを60%以上減少させることもあるという。VISTA(多発性骨髄腫の初期標準療法としてのベルケード:メルファランとプレドニゾンによる評価)治験では、幹細胞移植に適応のない多発性骨髄腫患者にボルテゾミブ、メルファラン、プレドニゾンによる期間固定治療の効果が確認された。 GIMEMA(Gruppo Italiano Malattie Ematologiche dell’Adulto)およびPETHEMA(ProgrammaEspañolde Tratamientos enHematología)試験では、投与量を改善し有効性をそのままに毒性を低減した。
自家幹細胞移植に適応のない多発性骨髄腫患者を対象に、ダラツムマブを併用または併用しないボルテゾミブ、メルファラン、およびプレドニゾン治療の比較を、無作為化して行っているが事前に指定された中間解析を報告する。
この第3相試験では、幹細胞移植の不適格である新たに診断された多発性骨髄腫患者706人を、ボルテゾミブ、メルファラン、およびプレドニゾンの単独投与(対照群)またはダラツムマブ(ダラツムマブ群)の9サイクルをランダムに割り当てた。主要エンドポイントは無増悪生存期間である。
706人の患者のうち、350人がダラツムマブ群に、356人が対照群に割り当てた。人口統計学的特性と臨床的特性は、一般に2つのグループ間でバランスが取れていた。ベースライン時の年齢の中央値は71.0歳(範囲、40〜93)であり、診断からの経過時間の中央値は0.8か月(範囲、0.1〜25.3)だった。合計700人の患者(ダラツムマブ群で346人、対照群で354人)が介入を受けた。カットオフ日(2017年6月12日)に、ダラツムマブ群の合計276人の患者(79.8%)と対照群の220人の患者(62.1%)がボルテゾミブ、メルファラン、およびプレドニゾンの9サイクルをすべて完了した。各グループの17人の患者は治療中だった。対照群のすべての患者は9サイクル後に治療を中止し、ダラツムマブ群のすべての患者は単剤療法としてダラツムマブを継続した。治療を中止した患者はダラツムマブ群は19.4%と対照群の患者(33.1%)よりも少なく、また中止の理由が疾患の進行(6.6%対13.3%)あるいは有害事象(4.9%対9.3%)である比率もダラツムマブ群が少なかった。死亡による中止は同様の比率だった。(それぞれ3.2%と2.3%)。治療期間の中央値は、ダラツムマブ群で14.7ヶ月(63.9週間)、対照群で12.0ヶ月(52.1週間)。ボルテゾミブとメルファランの相対治療強度の中央値は、両群で同じだった。ダラツムマブ群では、他のグルココルチコイドも使用されたため、プレドニゾン当量で計算した。ダラツムマブ群におけるプレドニゾンの治療強度の中央値は、1サイクル1平方メートルあたり251.8 mgであり、対照群における実際の用量強度は237.3 mgだった。ダラツムマブの平均相対治療強度は、1サイクル1キログラムあたり30.9 mgだった。ボルテゾミブの累積治療量の中央値は、ダラツムマブ群で1平方メートルあたり46.9 mg、対照群で1平方メートルあたり42.2 mgだった。無増悪生存期間はダラツムマブ群の88人の患者(25.1%)と対照群の143人の患者(40.2%)で増悪あるいは死亡の事象が発生した。ダラツムマブ群と対照群の増悪+死亡のハザード比は0.50(95%信頼区間[CI]、0.38〜0.65、P <0.001)。12か月無増悪生存率(カプラン・マイヤー推定値)は、ダラツムマブ群で86.7%(95%CI、82.6〜89.9)、対照群で76.0%(95%CI、71.0〜80.2)。18か月無増悪生存率は、ダラツムマブ群で71.6%(95%CI、65.5〜76.8)、対照群で50.2%(95%CI、43.2〜56.7)。事前に指定した二次エンドポイントは、全体的な奏効率は、ダラツムマブ群で90.9%、対照群で73.9%。微小残存病変が陰性の割合(10^5個の白血球あたり1個未満の腫瘍細胞)は、ダラツムマブ群では対照群よりも3倍以上高かった(22.3%対6.2%、P <0.001)。奏効までの時間の中央値は、ダラツムマブ群で0.79ヵ月、対照群で0.82ヵ月であり、最良の反応までの中央値は、それぞれ4.9ヵ月と4.1ヵ月だった。18ヵ月後も反応を続けた患者の推定割合は、ダラツムマブ群で77.2%、対照群で60.4%でした。あらゆるグレードの最も一般的な有害事象(いずれかの群の患者の20%以上)は、好中球減少症(ダラツムマブ群の患者の49.7%、対照群の患者の52.5%)、血小板減少症(48.8%、 53.7%)、末梢感覚神経障害(それぞれ28.3%および34.2%)、貧血(それぞれ28.0%および37.6%)、上気道感染(26.3%および13.8%)、下痢( 23.7%および24.6%)、発熱(23.1%および20.9%)、および悪心(20.8%および21.5%)。グレード3または4の有害事象は、好中球減少症(ダラツムマブ群の患者の39.9%および対照群の患者の38.7%)を含む血液学的な血小板減少症、(34.4%および37.6%)、および貧血(それぞれ15.9%および19.8%)だった。グレード3または4の感染症は、ダラツムマブ群の方が対照群よりも高かった(23.1%対14.7%)。最も一般的なグレード3または4の感染症は肺炎だった。感染による死亡は、ダラツムマブ群の5人の患者(1.4%)(肺炎で2人が死亡し、腹膜炎、敗血症性ショック、および上気道感染でそれぞれ1人が死亡)および4人の患者(1.1%)で発生し、一方対照群は(敗血症性ショック、カンジダ関連敗血症、細菌性肺炎、および敗血症で死亡した患者1人)だった。試験治療から30日以内の死亡に至る有害事象は、ダラツムマブ群の14人の患者(4.0%)および対照群の16人の患者(4.5%)で発生した。ダラツムマブ関連の注入反応(ほとんどがグレード1または2)は、患者の27.7%で発生し、その大部分は最初の注入中に発生した。グレード3の注入関連反応は患者の4.3%で発生し、グレード4の反応は0.6%で発生した。二次原発がんは、2つの群で同程度、ダラツムマブ群の8人(2.3%)と対照群の9人(2.5%)。腫瘍溶解症候群は、各群の2人の患者(0.6%)で報告された。
2019年10月16日
症例検討会
1 60代 中枢神経ML
2 60代 大動脈解離
2019年10月11日抄読会
Association between interpregnancy interval and adverse birth outcomes in women with a previous stillbirth: an international cohort study. Lancet. 2019 Apr 13;393(10180):1527-1535
妊娠の出産のリスクを減らすために、出産後少なくとも2年、流産後少なくとも6か月待ってから妊娠することをWHOは推奨しているが死産後の次の妊娠関して推奨する間隔はない。フィンランド(1987-2016)、ノルウェー(1980-2015)、西オーストラリア(1980-2015)の出生記録のデータを使用したコホート研究。妊娠の終わり(出産日)から次の妊娠の始まり(次の妊娠の出産日から出生時の在胎齢を引いたもの)までの時間と妊娠間隔を定義した。国、妊娠期間それぞれによる死産、早産、在胎不当過小児のオッズ比(OR)を計算し、母親の年齢、出産、出産の年数、および前の妊娠の妊娠期間を調整した。固定効果モデルのメタ分析を行いプールされたORを推定した。14452人の総死産から、死産後の平均妊娠間隔(9ヶ月)、12ヶ月以内の妊娠9109人(63%)、28(2%)が死産、2532(18%)が早産、1284(9%)が在胎不当過小児の出生と解析された。24?59か月の妊娠間隔と比較して、12か月より短い間隔は、その後の死産のオッズの増加と関連してなかった。さらに、過去の死産の在胎期間による、妊娠間隔と出生結果との関連に違いは認められなかった。死産から12ヶ月以内の受胎は一般的であり、その後の妊娠におけるリスク増加と関連なかった。
Impact of Baseline Steroids on Efficacy of Programmed Cell Death-1 and Programmed Death-Ligand 1 Blockade in Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer. J Clin Oncol. 2018 Oct 1;36(28):2872-2878
チェックポイント薬(ICB)の臨床使用経験が蓄積されるにつれ当初の臨床試験では解決できない問題が明らかになった。コルチコステロイドはコルチコステロイドは非小細胞肺がん(NSCLC)に様々な適応を持っている。コルチコステロイドの免疫抑制効果やそのT-cellに与える効果を考えるとICBの治療効果を落としてしまうかもしれないと考えるのも理解できる。そのためICBの臨床試験の登録以前にコルチコステロイド使用(患者)は除外されてきた。コルチコステロイドを使用することがICB治療にマイナスの影響を与えうるかについては現在データがない。
2施設においてPD-(L)1阻害剤で治療されたNSCLCの患者に関するコホート研究である。PD-(L)1阻害剤が開始された30日以内にコルチコステロイドが投与されているか薬局の処方データをレビューした。最善の全奏功率の差はフィッシャーの正確確率検定あるいはχ2乗検定を行った。生存曲線はKaplan-Meier方とログランクテストを比較して行った。Cox比例ハザード回帰モデルとロジスティック回帰を使用して多変数解析を実行した。
640人のPD-(L)1阻害剤で治療されたNSCLCの患者を確認しそのうち90人がPSL10mg以上を投与され、17人が(PSL換算)10mg未満の投与を受けていた。コルチコステロイドを投与された理由は呼吸器症状(33%)、倦怠感(21%)、脳転移(19%)だった。MSKCC(スロンケタリング)における全奏功率、無増悪生存期間の短縮、全生存率の短縮、はコルチコステロイド10mg以上 vs. 10mg未満でそれぞれ 6% vs. 19%、1.9month vs. 2.6month、5.4month vs. 12.1monthだった。GRCC(ギュスターヴ・ルッシー)では全奏功率でこそ有意な差はなかったものの無増悪生存期間の短縮と全生存率の短縮とを認めた。多変量解析では喫煙歴、PS、脳転移の有無いずれのグループにおいてもコルチコステロイドの投与がないかあるいは少ないかそのいずれかであればコルチコステロイドの投与が多い(10mg以上)場合よりも良好な全奏功率を得られ、無増悪生存期間と全生存率が比較的長かった。コルチコステロイドを投与するタイミングとその用量をさらに詳細に解析すると(MSKCCコホートのみ解析可能)PSl換算で20mg以上の投与では10-20mg投与患者よりも無増悪期間と全生存期間が短縮し、ICB治療のday0においてもコルチコステロイドをPSL換算10mg以上投与された患者はday-1以前に中止した患者よりも生存期間が短縮していた。PSL換算10mg以上のコルチコステロイドのベースライン使用は、PD-(L)1阻害剤で治療された非小細胞肺癌患者の予後不良と関連していた。PD-(L)1阻害剤の開始時にコルチコステロイドを慎重に使用することが推奨される。
2019年9月18日
症例検討会 2例
1 出血傾向で受診、Fbg、Plt減少。末梢血の白血球にファゴットbodyあり。APL with PML-RARA
2 腰痛、胸痛で受診。肋骨胸椎腰椎骨折。脊柱管狭窄症にて胸髄症の危険があり他院に転院。血液検査でM蛋白血症が疑われ、骨髄検査で多発性骨髄腫と診断された。
2019年9月13日抄読会
Preventing and Managing Toxicities of High-Dose Methotrexate. Oncologist. 2016 Dec;21(12):1471-1482.
高用量MTX治療(1平方メートルあたり500mg以上と定義)は広い領域のがん治療に用いられる。大抵の治療は安全に行われるが、尿細管にMTXの結晶ができると腎臓にダメージをもたらされ急性腎傷害(AKI)が生じることもある。その対策を行った上で腎傷害が起きてしまった場合でも、補液を増量すること、高用量のロイコボリンを投与すること、そしてグルカルピダーゼ(2012年FDA承認)を投与すること、これらをすべて行うと腎機能を回復させ透析を回避できる。この記事はこのごろの高用量MTX治療に関連する文献をもとに、推奨すべき包括的な予防策を提供するものであり、必要な時にAKIと一連の毒性を下げる処置の詳細な手引書となることを意図して書かれた。
24-Hour Blood Pressure-Lowering Effect of an SGLT-2 Inhibitor in Patients with Diabetes and Uncontrolled Nocturnal Hypertension: Results from the Randomized, Placebo-Controlled SACRA Study. Circulation. 2019;139:2089–2097
糖尿病と無制御夜間高血圧症のある患者では心血管系疾病の危険性も、塩分(食塩)感受性高血圧の死亡率も高い。Sodium-Glucose Cotransporter2[SGLT2]インヒビターとアンギオテンシン受容体ブロッカー(ARB)の組み合わせ治療を糖尿病と無制御夜間高血圧症の患者におこなう研究(SACRA)は既存の降圧治療に付加する効果をエンパグリフロジン(empagliflozin)に認めるか調べた。多施設、ダブルブラインド、パラレル研究。ARB系降圧剤を含む薬剤で治療を受けている2型糖尿病と無制御夜間高血圧症の成人患者に対照(プラセボ)グループとエンパグリフロジンを内服するグループでそれぞれ12週間治療を受けた。エンパグリフロジンは10mg/日内服。診察室の血圧を基準として測定し、24時間血圧モニタリングを治療4,8,12週に実施した。プライマリエンドポイントは携帯血圧測定器により測定した夜間血圧の基線の変化とした。
2019年9月4日
症例検討会
アルコール性肝硬変と診断されていた。徐々に強くなる息苦しさに受診。
GOT 66 H 13~30U/L U/l , GPT 39 10~42U/L U/l , LDH 581 H 124~222U/L U/l , ALP 535 H 106~322U/L U/l , γGTP 20 13~64U/L U/l , アミラーゼ 121 44~132IU/L IU/l , CPK 197 59~248U/L U/l , T-Bil 8.06 H 0.4~1.5mg/dl mg/dl , 尿素窒素 20.9 H 8~20mg/dl mg/dl , クレアチニン 2.07 H 0.65~1.07mg/dl mg/dl
とビリルビン血症を認めた。
心電図は
胸部レントゲンは
など右室肥大、肺動脈径拡張など認めた。
肺血流シンチで欠損認めず、血栓も認めないことから原発性肺高血圧症と診断された。
2019年8月30日抄読会
Daratumumab plus Lenalidomide and Dexamethasone for Untreated Myeloma N Engl J Med. 2019 May 30;380(22):2104-2115
いまや標準的な治療となったレナリドミド+デキサメサゾン療法であるがそれにダラツムマブ daratumumab (anti-CD38 monoclonal IgG)を加えることで疾患の進行や増悪を改善しうるか解析した。
この第3相の治験はランダム化オープン試験だった。対象は年齢などの理由により造血幹細胞移植に裏打ちされた大量化学療法の適応から外れた患者であり、造血機能、肝酵素、腎機能検査が一定基準をクリアした人々。ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメサゾンの治療を行った群とダラツムマブを含まない治療の対照群にWebシステムで(無作為に)1:1に分けた(lenalidomide 25mg on D1-21/28, dexamethasone 40mg on D1 8 15 21 /28 +or- daratumumab 20mg/kg 経静脈投与 1-2周回は毎週 3-6周回は隔週 その後4週ごと)。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間。効能を評価するエンドポイントとしてCR、stringent CR、MRD(微小残存病変)のない患者が全体に占めるパーセンテージも解析した。解析はIntention-to-treat分析、ログランク検定による2群の比較、Cox回帰分析によるHR、連続的変数の記述統計、Kaplan Meier法による事象発生期間の解析、2値アウトカムのCochran-Mantel-Haenszel検定。結果 対象:ダラツムマブ群368名 vs.比較対照群369名、治療継続期間:ダラツムマブ群25.3Months vs.比較対照群21.3Months、増悪・死亡者:ダラツムマブ群97/368 vs.比較対照群143/369、30月無増悪生存患者推計(K-M):ダラツムマブ群70.6% vs.比較対照群55.6%、50%無増悪生存期間:ダラツムマブ群 到達せず vs.比較対照群31.9Months、ダラツマブ群の対称群に対するHRは0.56。肝障害の存在するサブグループを除くすべてのサブグループでダラツムマブ群は対照群に無増悪生存率で優れていた。対照群 vs. ダラツムマブ群ではCR以上に改善した比率, VGPR以上に改善した患者, 全生存患率, MRDのない患者の比率, 30月PR以上の改善を維持した患者の比率はそれぞれ24.9% vs. 47.6%, 53.1% vs. 79.3%, 81.3% vs. 92.9%, 7.3% vs. 24.2%, 65.7% vs. 80.3%だった。いずれの群も効果は1.05月で現れ、50%の患者がCR以上に到達する時間は対照群とダラツムマブ群でそれぞれ11.2月、10.4月だった。グレード3以上の有害事象は好中球減少(35.3% vs. 50.0%)、貧血(19.7% vs. 11.8%)、リンパ球減少(10.7% vs. 15.1%)、肺炎(7.9% vs. 13.7%)、白血球減少(4.9% vs. 11.0%)、感染症(23.3% vs. 32.1%)だった。重篤な有害事象の中で最も頻度の多いものは肺炎だった。(7.4% vs. 13.2%)。感染症による離脱率、それによる死亡者率、特に肺炎による死亡率はそれぞれ1.4% vs. 0.5%, 6.3% vs. 6.9%, 0.8% vs. 0.5%(対照群 vs. 介入群)。2次がんは介入群の12人の患者(3.3%)に発生し固形がんは2.7%、造血器腫瘍は0.5%。インヒュージョンリアクションは介入群の40.9%に起こり、グレード3以上は2.7%。以上より無増悪生存、奏効率(完全寛解率と部分寛解率の和?)、MRD消失の深さ、効果のある期間で3剤併用はRdより優れること、3剤併用は好中球減少と感染症は多いことが結論された。
What is known
・重症患者に対して薬物療法による塞栓予防を行うことでDVTとPEの発生率が50%低下した。Crit Care Med. vol41:2088
・脳梗塞で入院した治療中の患者にIPCを使用するとDVTが30%低下した。Lancet vol382:516
・重症患者において、薬物療法による塞栓予防にIPCを追加することで、一部の外科系疾患においてDVT発生率が低下した。Cochrane database syst Rev. 2016 Sep 7;9:CD005258
What Is unknown
・重症患者で薬物療法による塞栓予防にIPCを追加した場合の効果はわかっていない。
・臨床ガイドラインでも推奨が統一されていない
・薬物療法による塞栓予防が困難な患者には、I PCが推奨されていることが多い
リサーチクエスチョン
薬物療法(未分化ヘパリンまたは低分子ヘパリン)による塞栓症予防をされている重症患者において、IPCを行うことで中枢型DVTを減少させるか。
Intensive chemotherapy followed by hematopoietic stem-cell rescue for refractory and recurrent primary CNS and intraocular lymphoma: Société Française de Greffe de Moëlle Osseuse-Thérapie Cellulaire. J Clin Oncol. 2008 May 20;26(15):2512-8.
大量MTX(methotrexate)を併用した化学療法の治療効果が乏しかったあるいは再発したPCNSL(CNS[中枢神経系]原発リンパ腫)患者およびIOL(眼球内リンパ腫)の患者に対する造血幹細胞レスキュー(HSC)を併用した強力化学療法(IC)の効果を解析した。すでにMTX治療を施された、65歳未満、HIV陰性を確認された43人の患者がエントリーされた。患者はサルベージ療法後主治医の判断でIC+HSC治療に進めた。
中央値が36ヶ月の観察期間において全生存期間は中央値18.3ヶ月、2年生存率および無増悪生存率は45%、43%だった。
多変量解析ではPS(performans status)が良好なグループ、サルベージ療法が効いたグループ、IC+HSCを実施した(できた)グループは全生存率も無増悪生存期間もよい結果だった。
PSが1のグループは全生存期間が26.9ヶ月であるのに対して2-4のグループは16.3ヶ月。
サルベージ治療が奏功したグループとしなかったグループでは全生存期間の中央値64ヶ月に対して8.7ヶ月(log-rank P = .0022) 無増悪生存期間の中央値は41ヶ月に対して6ヶ月 (log-rank P = .0016)。
IC+HSCを実施した(できた)グループとしなかったグループの全生存期間は58.6ヶ月に対して4.6ヶ月 (P < .0001)、無増悪生存期間の中央値は41.1ヶ月に対して4.8ヶ月 (P = .0001)だった。
Lower Incidence Rate of Type 1 Diabetes after Receipt of the Rotavirus Vaccine in the United States, 2001-2017. Sci Rep. 2019 Jun 13;9(1):7727. doi: 10.1038/s41598-019-44193-4.
1型DMはHLA座との関連が報告されているが、一方β細胞の自己免疫発生の引き金になっている後天的な因子もあると推測されている。ロタウイルスワクチンの経口接種者は1型DMの発症リスクが低いという報告はその一つだ。
2001年から2017年6月30日までの米国の医療保険会社のデータを用いたコホート研究である。対象は保険加入が1歳未満で始まり、期間が365日以上である保険加入者である。対象者はロタウイルスワクチンを完全に接種された(3 doses of RotaTeq or 2 doses of Rotarix)グループ、全く摂取されなかったグループ、不完全な接種(回数が足りない)グループに分けられた。非接種者は2001–2005に生まれて未接種のグループ(Historical Comparator)と2006–2017年の期間に摂取しなかったグループ(Concurrent Comparator)の2グループにわけた(RotaTeqは2006年にRotarixは2008年から使用可能になったから)。
Tafamidis Treatment for Patients with Transthyretin Amyloid Cardiomyopathy N Engl J Med 2018; 379:1007-1016
Tafamidisはトランスサイレチン(TTR)に結合しTTRテトラマーを安定化させることでアミロイドの形成を阻害する。Tafamidisの心アミロイドーシスに対するphase 3 trialの論文。
心臓、脂肪、消化管、唾液腺あるいは骨髄のいずれかにアミロイドの蓄積が確認された年齢18-90の成人を対象とした(TTRのmutationの有無にかかわらず)。毎日80 mg or 20 mgのtafamidisあるいはmatching placeboを30ヶ月服薬する3armの多施設によるランダマイズされた二重盲検の研究。総死亡率、心疾患による入院頻度、30ヶ月内服後の6-minute walk testによる歩行距離、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire–Overall Summary (KCCQ-OS) scoreにおいてtafamidisの効果を評価した。
結果
Daratumumab plus lenalidomide and dexamethasone versus lenalidomide and dexamethasone in relapsed or refractory multiple myeloma: updated analysis of POLLUX.
対象 POLLUX ongoing randomized open-label phase3 study
介入 Rd (lenalidomide: 25 mg orally on Days 1-21 of each 28-day cycle; dexamethasone: 40 mg orally weekly) に対する with or without daratumumab (16 mg/kg intravenously weekly for 8 weeks, every 2 weeks for 16 weeks, and then every 4 weeks)の2アームstudy
PFS,response rate, OSで評価